おきなわの観光意見・絵画コンクール

第17回審査員総評


国立大学法人琉球大学
名誉教授
神山泰治

今年は参加校が増え3,511点の応募があり、その作品の中から厳しい審査を経て入選と各賞が選出されました。そこで各部門の最優秀賞に輝いた作品について感想を述べます。

小学校低学年の部の小禄小学校3年仲里茉莉さんの「笑顔がいいね!」は、主役の獅子をダイナミックに描き、脇役のチョンダラーをユーモラスに、そして見物している親子の表情を対称的に表現した楽しい作品。小学校高学年のはごろも小学校5年阿波根嘉那さんの「エイサー大会」は、画面全体に躍動感があり、また太鼓を打ち鳴らす男衆のリアルな表現に圧倒されます。中学校の部の寄宮中学校2年富村綺音さんの「末吉宮と蛍」は、末吉の社の昼と夜を同画面上に表現し、見上げたお宮の建物の美しさ、特に白い階段の表現が印象的です。高等学校の部の本部高校2年玉城夏穂さんの「自然から見るオキナワ」は、太陽と空、海中を泳ぐウミガメそしてバナナ、アセローラと浮遊する魚たち、その組み合わせに驚嘆させられました。

次年度も創意工夫された素晴らしい作品に出会えるのを期待しています。


沖縄県立博物館・美術館
館長
田名 真之

今回、2度目の審査員を務めさせてもらいました。前回同様、審査会場の床いっぱいに1000枚前後の子供たちの絵が広げられた光景は、圧巻の一言です。

各部門の最優秀や優秀賞作品などいずれも納得の素晴らしい作品でした。入選作品をはじめ特別支援学校の児童生徒の作品、そして応募の全作品、子供らしくのびのびと楽しくなる絵がいっぱいで、かと思うとこれが小学校の低学年!と驚かされる技巧派の作品、中学、高校生の一般の展覧会でも十分通用するのではと思わせる作品など、ワクワクしたり、感心したりの審査で、あっという間の5時間でした。

絵の題材は、沖縄を象徴するもの、夏休みの思い出などで、定番のジンベエザメやマンタ、エイサー、ハーリー、獅子舞い、シーサー、首里城などの他、空手や琉舞、山羊、豚、牛〈車〉、ゴーヤー、アセロラ、パインアップル、沖縄そばなど多岐に亘っており、子供たちがたくさんの「沖縄の宝、いいもの、大好き」をみつけたことが分かります。本コンクールが沖縄の未来を担う子供たちの豊かな感性の醸成に一役も二役も買っていると評したいと思います。

YOKANG デザイナー 山内カンナ
YOKANG デザイナー 山内カンナ

カラフルなパッチワーク生地のように、床一面に敷き詰められた絵画達。思わず、「かわいいー。」と叫んでしまいました。この床のワンピースが欲しい。その時点で何とも言えない高揚感に包まれながらも、直感を研ぎ澄ませて選定させていただきました。

それぞれの作品に子供たちの世界観があり、ユニークに表現されているもの、ため息が出るくらいに美しく表現されているもの、ひゃーと驚くくらい、どこまでも繊細な作品など、自分自身が描きたい沖縄の物語がありました。

今のデジタル時代、感性を表現する方法は幾通りもある世の中ですが、見たことのない表現や創造性に触れた時、線一つ、曲線一つ、点一つ、迷いながら、考えながら、手で描いた足跡といいますか、匂いといいますか、表現者とお話しているような感覚がありました。枠の無い、子供たちの無限の可能性を引き出す、児童絵画コンクールの重要性を改めて感じることが出来ました。


沖縄県文化観光スポーツ部
観光政策統括監
新垣 健一

沖縄の豊かな自然、伝統ある歴史、文化。私たちの身近にある「私のまちのたからもの」を県内の児童生徒が感性豊かに描いている多くの作品に出会えることができました。

会場に所狭しと並べられた作品の数々。会場全体がとても明るく、審査員である私たちをわくわくさせる雰囲気を醸し出しています。私自身は初めての審査員でしたが、とても楽しく審査に参加させて頂きました。小学校低学年、高学年の最優秀作品は獅子や踊り手の生き生きとした表情が力強く表現されており、また、中学校や高等学校の最優秀作品では灯りや光で沖縄の自然・作品を紹介できないことが残念ですが、他にも綱引きやエイサー、闘山羊といった躍動感あふれる作品、夕焼けや植物など身近な自然を描き癒やしを感じさせる作品、個性的な色使いやタッチで描かれた作品など、どれをとってもレベルの高い素晴らしいものばかりです。

コンクールを長年に亘り主催して頂いている関係者皆様や児童生徒を指導されている教育関係者に敬意を表するとともに、沖縄の未来を担う児童生徒の豊かな感性が今後の沖縄観光の明るい未来につながっていくことを期待しています。


一般財団法人 沖縄観光コンベンションビューロー
企画・施設事業部長
翁長 由佳

今回初めて「おきなわの観光絵画コンクール」の審査に参加いたしました。毎年、会場を埋め尽くす作品の様子をパンフレットなどで見ていたので、そこからどうやって審査していくのか、当日はちょっと不安な気持ちで臨みました。しかし、実際に作品を目の前にすると、そんな不安も吹き飛び、審査時間があっと言う間に感じるほど、子供たちの作品から溢れ出すパワーに心躍る素敵な時間を過ごすことができました。沖縄の子どもたちがこんなにも感性豊かに、沖縄の文化、自然、人、生き物、景観を表現する才能に満ち溢れていることを知ることは、観光に日々携わる立場としてとても幸せな機会となりました。

今回の受賞作品はどれも、その絵の世界の中に一瞬で引き込まれる素晴らしい作品ばかりです。子供たちの目に映る沖縄が、これから先もこの絵のように生き生きと輝き続けることができれば、沖縄観光も今後ますます発展していくものだと思います。

「観光」を切り口に、このような素晴らしい取り組みを継続してくださっている主催・共催事務局、並びに関係者の皆様のご尽力に敬意を払うとともに、子供たちの作品を私たちに届けてくれた学校現場、ご家族の皆様にも心から感謝を申し上げます。また、受賞作品の巡回展示で、一人でも多くの皆様に作品の生の迫力を味わっていただければと思います。


沖縄県教育庁県立学校
教育課指導主事
稲田 政博

「おきなわ」を感じるには、自分の足の裏や手触り、空気、水温などと共に目で感じる景色、さらに昆虫や動物、生きものへの思いやりと愛おしさなど、やさしくて豊かな感性が必要だとあらためて感じました。ともすると観光ポスター的な、よくある景色での表現になりがちですが、ひとつのテーマに対して、年々バリエーション豊かな作品が集まること、その子どもたちの想像力に驚かされています。

今回の入賞作品には、技術的な高さもありますが、時間をかけて「描き込む」、細部までこだわるという説得力と「描くことが楽しい・面白い」という気持ちを見えるように感じることができました。その点では、純粋に描くことを楽しんでいる特別支援学校の生徒の作品も印象的でした。

また、何を描いたのか、描きたいと思ったのか、作品の説明も審査での参考となります。短くてもぜひ、記入してほしいと思います。

最後に日々の暮らしの中で、自分と他者、そして「おきなわ」、地球とのつながりを想像できる子どもが一人でも多く育つことを祈っています。本コンクールをきっかけにその気持ち、視点を持ってくれれば、とても嬉しく思います。

株式会社かりゆし 代表取締役社長 當山智士
株式会社かりゆし
代表取締役社長
當山智士

第17回目を迎えた本コンクールですが、本年度も県内各地の児童・生徒の皆さんより3,511作品ものご応募を頂き、誠にありがとうございました。

選考会場いっぱいに広げられた作品達には、南国をイメージさせるような色鮮やかで生命力に溢れる「おきなわ」が所狭しと表現されていました。 身近な地域の宝物を紹介した作品や、印象に残る風景を描いた作品、また伝統芸能をダイナミックに表現した作品や、生命の神秘を力強く瑞々しく表現した作品など、絵の中から沖縄の新たな一面を発見する事ができました。本年も子ども達の表現力の豊かさ、発想の柔軟さに、ただただ感心させられるばかりでした。

かりゆしグループでは、今後も観光人材育成事業を通して沖縄の未来を担う子供たちの育成に寄与できればと考えています。

最後に、次回もより多くの児童・生徒の皆さんの個性的で独創的な作品に出会える事を、心より楽しみにしています。