おきなわの観光意見・絵画コンクール

第18回審査員総評


国立大学法人琉球大学
名誉教授
神山 泰治

今年度は応募点数が最多で4,364点の応募があり、厳しい審査を経て入選、各賞が選出されました。その中から各部門の最優秀賞に輝いた作品について感想を述べます。

小学校低学年の部の川平小学校1年仲本みはなさんの「パイーグルとハリークイ」は、登場人物が多様なポーズで表現されハーリーの競争と一生懸命に応援している様子がよく伝わってきます。また空と海の青さとオレンジ色のハーリー船の配色に魅了されます。小学校高学年の部の南風原小学校6年大城ゆずさんの「琉球ガラスにこめられた沖縄の魅力」は、吹きガラスの球状に沖縄の自然や文化の素材をいっぱい描きこみ、沖縄の魅力を展開させるという発想に驚嘆させられます。中学校の部の多良間中学校2年奥平偉翔さんの「多良間の八月おどり」は、紅白の幕と獅子頭そして演じられた大主をダイナミックに組み合わせて対のおどりを象徴的に表現したインパクトのある作品に圧倒されます。高等学校の部の那覇国際高等学校1年伊野波愛さんの「琉球舞踊」は、紅型衣装の魅力を強調するため、顔の部分を小さめに、衣装の部分を大きめにとり、模様の美しさを引き立たせています。また花笠と紅型衣装に控えめに陰影をつけ、立体感、良寛、質感をも表現されています。

次年度も創意工夫された素晴らしい作品に出会えることを楽しみにしています。


沖縄県立博物館・美術館
館長
田名 真之

今回、応募作品数が歴代最多の4364点ということを、大変嬉しく思いました。この「おきなわの観光」絵画コンクールが、多くの児童生徒の目標となっていることの証だと思いますし、親御さんや学校の先生方にも認知され、指示されていることの表れだろうと思います。

とはいえ、これだけ多くなると、ホントに審査員泣かせです。その上、力作揃いとなると、あれもこれも入賞させたいし、と思い悩みます。小学校生のかわいらしい絵や上手な絵、中学、高学年になると、素材も構図も素晴らしく、感心しきりです。

「おきなわの観光」というテーマは、「沖縄の宝」探しに繋がってますね。沖縄のことを、住んでいる地元のことをじっくり考え、対象を観察する契機になっていると思います。ボクの、ワタシの大好きな沖縄、自慢したい沖縄の宝はこれだ!みんなみて!凄いでしょう!そんな気持ちが多くの作品に溢れています。

本コンクールが、今後とも、沖縄の児童生徒の豊かな感性の発露を応援する大きな役割を果たされることを期待しています。

YOKANG デザイナー 山内カンナ
YOKANG デザイナー 山内 カンナ

昨年を上回る応募数という事で、今回もたくさんの沖縄の宝物に出会い、また、子供たちの視点から描かれた沖縄観光の新たな魅力を感じた貴重な時間となりました。

上位入賞された作品は、絵の中に吸い込まれる写実性の強い作品や、細部までこだわった努力のの様子がうかがえる作品、個性が光る自由な表現、構図の面白さなど、いろいろな手法の表現する楽しみを感じることが出来ました。

今年の印象として無形文化遺産に選定された宮古島のパーントウや多良間島の八月おどりなど、カラフルな衣装や仮面など、島々や地域から発信されるバラエティーに富んだ地域魅力が数多く光っていました。沖縄の美しい海を暗い海底から見上げた光へと続くブルーの濃淡の世界など視点を変えた表現は、ジンワリ心に残っています。そして、連続入賞している児童の作品を見て感じた技術・感性ともに昨年とは違う表現があり伸び代に驚きました。

子供たちにとって日々の経験体験、見たものすべてが、豊かで夢いっぱいの想像世界へ直結している事、そして、この大切な時期に表現できる本コンクールの重要性を改めて感じることが出来ました。これからも子供達の視点から見た絵画から伝わる物語を楽しみにしています。


沖縄県ユネスコ協会
副会長
長濱 雅仁

本県の未来を担う子どもたちが沖縄県の自然、歴史、文化、世界遺産に対する理解を深めることを目的に第18回「おきなわの観光」絵画コンクールをかりゆしグループと共同開催できたことを心から嬉しく思います。

琉球王国時代から「万国津梁」を国是とし、「アジアの橋頭保」を標榜する沖縄県は我が国における南の玄関口として、近隣諸国との文化・観光などの人的交流や経済的な交流を活発に行い、多様な文化や価値観を取り込んできました。

本コンクールを通じて、「平和」を希求してきた先人の思いや「人の心に平和のとりでを築く」というユネスコの理念に触れるとともに、地元を愛し、世界に羽ばたく人材の育成に繋がることができれば幸いです。

折しも平成から令和へ改元となった今年は、ユネスコ無形文化遺産に登録された「組踊」上演300周年の年に当たります。沖縄の伝統文化である組踊が地域文化等の新たな魅力として発掘され、県内外に発信されていくものと期待しています。

本コンクールの趣旨に賛同され、作品の応募の周知及び取りまとめにご尽力頂いた学校関係並びにコンクールに協力いただいた関係者の皆様に感謝と敬意を表します。


株式会社アースクラン
筆文字アーティスト
田場 珠翠

初めての審査員を務めさせて頂き、どんな絵画作品に出会えるのかワクワク・ドキドキしながら審査会場いっぱいに広げられた県内各地域の児童・生徒の応募作品。今年度は、過去最多の4,364点の応募に驚きました。

「おきなわの観光~絵で伝えよう!私たちのたからもの~」どの作品も大胆さと繊細さ、見ていてホッと和んだり、個性溢れ沖縄のたからものを子供達が感じ、繋げていきたい思いが絵画作品に表現されていました。

ここで「絵=糸+会」から成り立っていて、さらに文字分解すると「糸=意図(想い)」、「会=人頭(ひとがしら)+云」さらには、人を人偏(にんべん)に置き換えると「伝」の字となります。つまり、描き手の意図(想い)をそれぞれの学年目線で伝えたい想いが、ダイレクトに表現され「完成」度が高く「感性」豊かな各部門の最優秀賞作品でした。また、今あるものから発想力が生まれ、観察力を生かし、鮮やかな色使いで創造力が開花した絵画作品の数々にも感動しました。

最後に、それぞれの地域で、それぞれの立場で沖縄のたからものを実感し、沖縄観光の「おもてなし=ウトゥイムチ」につなげてほしい期待を込めて巡回展をぜひ一人でも多くの皆様に鑑賞頂きと思います。


沖縄県文化観光スポーツ部
観光政策統括監
渡嘉敷 道夫

今回初めて審査員を務めさせていただきましたが、会場一面に並べられた作品の数々にとても圧倒されました。どれも素晴らしい作品であり、「おきなわの観光」をテーマにしたそれぞれの絵は、自然、文化、建造物、様々なイベントから日常の風景まで多岐にわたり、沖縄観光の魅力あるコンテンツの豊富さを改めて実感いたしました。

海底から見上げたウミガメのシルエットや、岸壁の巨大なクルーズ船、海岸沿いの道路に立つバス停、家族でサーターアンダギーを揚げている様子など、独自の視点から描いた作品もあり、感心させられました。審査員の皆様が一つひとつの作品を楽しそうに眺めながら審査をしておられたのも印象的でした。

最後に、本コンクールを長年にわたり主催していただいている関係者の皆様、ご指導いただいている先生方のご尽力に心から敬意を表しますとともに、児童生徒の豊かな感性が沖縄観光の明るい未来につながっていくことを期待しています。

株式会社かりゆし 代表取締役社長 當山智士
株式会社かりゆし
代表取締役社長
當山 智士

今年で18回目を迎えました本コンクールにおきまして県内各地より多くの児童・生徒の皆さんにご応募を頂き、誠にありがとうございます。

今回は、過去最多となります4,364点ものご応募がありました。 会場いっぱいに並べられた作品は、エネルギーを感じるものばかりで、子ども達の視点で見た「おきなわ」が所狭しと表現されていました。

躍動感のある沖縄そばを表現したものや、伝統芸能を力強く表現してあるもの、沖縄の伝統的な建物を繊細に表現したものや、ユニークな構図で沖縄を表現したものなど、沖縄の魅力がキャンパス一杯にダイナミックに描かれておりました。

本年も、子ども達の創造力溢れる瑞々しい感性に感銘を受けるばかりでございました。 今後とも幣グループは、微力ではございますが観光人材育成事業を通して、沖縄の未来を担う子供たちへ教育の場として寄与できればと考えています。

最後に、次年度もより多くの児童・生徒のすばらしい作品達に出会える事を心より楽しみにしております。